ノコギリ鎌の使い方|自然農の草刈り・株元整理・根切りを実践解説

ノコギリ鎌の使い方 道具

自然農を始めると、かなり頻繁に使うことになる道具があります。

それが**ノコギリ鎌(鋸鎌)**です。

一般的には稲刈りなどにも使われる道具ですが、自然農では単に草を刈るだけではありません。

私の場合は、

  • 畝の草整理
  • 野菜の株元の草刈り
  • 密集したイネ科の草を刈る
  • 宿根草の根を切る
  • 播種や植え付け場所だけ草を開ける
  • 刈った草を草マルチとして戻す

など、畑仕事のさまざまな場面で使っています。

刈払機では入りにくい作物のすぐ近くでも、ノコギリ鎌なら一本一本の草を見ながら作業できます。

自然農では、

「草を全部なくす」のではなく、「必要なところだけ草を整理する」

ことが大切です。

そのため、小回りが利いて草を選びながら刈れるノコギリ鎌は、とても相性のよい道具だと感じています。

今回は、ノコギリ鎌の基本的な使い方から、自然農で私が実際に行っている草整理や根切り、草マルチへの活用まで紹介します。


ノコギリ鎌とは?自然農で出番が多い理由

ノコギリ鎌は、刃先が細かなノコギリ状になった片手鎌です。

普通の鎌のように鋭い刃で一気に切るというより、鋸歯を草や茎へ食い込ませながら引いて切ることができます。

そのため、

  • 柔らかい草
  • 少し硬くなった草
  • イネ科の草
  • 絡み合った草
  • やや太い茎

などにも使いやすいのが特徴です。

自然農では、畑を裸地にするような全面除草ではなく、野菜の成長を見ながら草との競合を調整していきます。

つまり、

「この草は残す」

「ここだけ刈る」

「株元だけ少し開ける」

といった細かな作業が増えます。

こういう場面では、機械よりもノコギリ鎌の方がずっと扱いやすいことがあります。


基本|ノコギリ鎌の持ち方と草の刈り方

まずは基本的な使い方です。

ノコギリ鎌は基本的に利き手で持ちます。

柄の中央よりやや後ろ側をしっかり握り、刃先を草の根元付近へ当てます。

そこから、

刃を草へ食い込ませて、手前へ引く

ようにして切ります。

力任せに叩きつける必要はありません。

ノコギリ状の刃が草へ食い込むので、刃を滑らせるように引くだけでもよく切れます。

「押す」より「引く」

ノコギリ鎌は名前の通り、ノコギリ状の刃になっています。

そのため、前へ押し込むよりも、

草へ刃を当てて手前へ引く

動きの方が使いやすいです。

特に太い草の場合、一度で無理に切ろうとせず、

「刃を当てる → 引く」

という動作を繰り返します。


草を手で持つ場合は、刃の位置に注意

背の高い草や倒れた草を刈る場合には、反対の手で草をまとめた方が作業しやすいことがあります。

ただし、ここは特に注意が必要です。

草を持つ手は必ず刃より十分上に置き、鎌を引く方向へ手や指を置かないようにします。

ノコギリ鎌は小さな道具ですが、切れ味のよいものは簡単に指を切ります。

慣れてくるほど作業が速くなり、つい反対の手が刃へ近づきがちなので注意してください。


自然農では「全部刈らない」がポイント

一般的な除草では、

「草をできるだけきれいになくす」

ことを目的にする場合があります。

しかし、私が自然農で草整理をするときは少し考え方が違います。

草は、

  • 土を乾燥から守る
  • 雨滴から土の表面を守る
  • 根によって土中へ通気・水の道をつくる
  • 昆虫などの生き物のすみかになる
  • 刈れば有機物として畑へ戻る

といった役割を持っています。

そのため私は、

「草をなくす」のではなく、「作物とのバランスを調整する」

という感覚でノコギリ鎌を使っています。

特に作物がまだ小さい時期は、周囲の草が大きくなりすぎると光や水分を奪われてしまいます。

その場合は作物の周囲を少し広めに整理します。

逆に作物が十分大きくなれば、すべての草を刈る必要はありません。

この判断が、自然農の草整理ではとても重要だと思います。


実践① 作物の株元の草を整理する

ノコギリ鎌が最も活躍するのが、野菜の株元です。

例えば、

大豆

トマト

ナス

ピーマン

ダイコン

ネギ

などの周囲に草が生えてきた場合です。

株元では鎌を大きく振らない

株元では、鎌を大きく振るのは危険です。

作物まで一緒に切ってしまう可能性があります。

私は、

  1. 作物の位置を確認する
  2. 株元の草を手で少し分ける
  3. 切りたい草だけを確認する
  4. ノコギリ鎌を小さく動かして刈る

という順番で整理します。

特に大豆やトマトなどは茎が草に隠れていることがあります。

草を勢いよく一気に刈るのではなく、

「まず見る、それから刈る」

という癖をつけておくと失敗が少なくなります。


草は地際ギリギリまで刈らなくてもよい

自然農では、必ずしも地面すれすれまで草を刈る必要はありません。

作物より草が高くなりそうな場合には、

草の高さだけ抑える

という整理方法もあります。

例えば草丈が30cmあるなら、10~15cmほど残して高刈りすることもあります。

草の種類や季節によって再生速度は違いますが、土を完全に露出させないという点では、高刈りは使いやすい方法です。

特に真夏は、草を地際まできれいに刈りすぎると土の表面へ直射日光が当たりやすくなります。

草をどこまで残すかは、

作物の大きさ、草勢、季節、土の状態

を見ながら決めます。


実践② 畝全体の草を整理する

草が畝全体を覆うようになってくると、一株ずつ整理しているだけでは間に合わなくなることがあります。

その場合は、畝の草をある程度まとめて刈ります。

ポイントは、

一度に大量の草を刃へ噛ませないこと

です。

草をたくさんまとめて一気に切ろうとすると抵抗が大きくなり、余計な力が必要になります。

刃先から少しずつ草へ入れて、

サッ、サッ、サッ

とリズミカルに引いていく方が疲れにくくなります。

刈る順序を決めておく

私は、

株元

畝肩

畝の中央

通路

というように、ある程度順序を決めて作業することがあります。

ただし、畑の状況によって変えます。

重要なのは、

最初から全部きれいにしようとしないこと。

まず野菜が負けそうな場所を優先します。


実践③ 密集したイネ科の草を刈る

夏になると、メヒシバやエノコログサなどのイネ科の草が一気に繁茂することがあります。

こうした草が密集すると、普通に鎌を入れても刃へ大量に絡みついてしまいます。

その場合は、

少量ずつ刃へ入れる

手前へ引く

刈った草を横へよける

また次の草を刈る

という流れで進めます。

大量の草を一気に刈ろうとすると、鎌も作業者も疲れます。

切れないときは力を入れる前に刃を確認

ここはかなり重要です。

草が切れないと、

「もっと力を入れよう」

と思いがちです。

しかし実際には、刃が摩耗していることがあります。

切れない鎌で力任せに作業すると、

  • 疲れる
  • 手首や腕へ負担がかかる
  • 作物を誤って切りやすくなる
  • 鎌が滑って危険

です。

草が以前より切れなくなったら、まず刃先を確認します。


実践④ 宿根草の根を切る

ここからは、少し自然農らしい使い方です。

私はノコギリ鎌を、宿根草の根を切るために使うこともあります。

例えば、

  • ヨモギ
  • スギナ
  • チガヤ
  • 地下茎で増える草

などが植え付け場所へ入り込んでいる場合です。

ただし、これは一般的な草刈りとは少し違い、刃を傷めやすい使い方でもあります。

土へ斜めに刃を入れて根を切る

植え付ける場所などで地下茎を切りたい場合、ノコギリ鎌を土へ浅く入れます。

根へ刃を引っかけるようにして、手前へ引いて切ります。

ここでも、

横へこじらない

ことが大切です。

刃を土へ入れた状態で左右へ強くこじると、薄いノコギリ鎌では刃が曲がったり欠けたりすることがあります。

土中の根切りでノコギリ鎌を使う例もありますが、基本はまっすぐ差し込み、手前へ引く使い方が刃への無理を減らします。

石の多い場所では無理をしない

石へ刃を強く当てると、鋸歯が欠けます。

大きな根や硬い土、石の多い場所では、

  • 移植ゴテ
  • 根切り鎌
  • 剣先スコップ

など別の道具を使った方がよいこともあります。

ノコギリ鎌は便利ですが、万能工具ではありません。


播種や定植場所だけ草を開ける

自然農では畝全面の草をなくさず、

種をまく場所だけ草を整理する

という使い方もできます。

例えば点まきなら、

  1. 播種位置を決める
  2. 周囲の草をノコギリ鎌で刈る
  3. 刈った草を一度横へよける
  4. 必要な部分だけ表土を整える
  5. 種をまく
  6. 必要に応じて刈った草を周囲へ戻す

という流れです。

苗を植える場合も同じです。

畝全面を裸地にする必要はありません。

この**「必要な場所だけ開ける」**という使い方が、私は自然農とノコギリ鎌の非常に相性のよいところだと思っています。


刈った草は捨てずに草マルチへ

ノコギリ鎌で刈った草は、基本的には畑の外へ持ち出しません。

私はその場で、

草マルチ

として使います。

刈った草を作物の周囲や畝の表面へ戻しておくことで、

  • 土の乾燥を抑える
  • 強い雨から表土を守る
  • 新しい草の発芽を抑える
  • やがて分解して土へ戻る

という循環ができます。

つまり自然農の草整理は、

草を刈って終わり

ではありません。

生えてきた草 → ノコギリ鎌で整理 → 草マルチ → 土へ戻る

という循環の一部として草刈りを考えています。

自然農での草マルチの詳しいやり方はこちらの記事で紹介しています。

自然農の草マルチとは?やり方を紹介!


ノコギリ鎌でやってはいけない使い方

便利なノコギリ鎌ですが、使い方を間違えると刃を傷めたり、けがにつながります。

特に注意したいのは次のような使い方です。

石へ叩きつける

石へ刃を強く当てると鋸歯が欠けます。

土へ刃を入れる場合は、石が多くないか確認しましょう。

刃を土中で左右へこじる

ノコギリ鎌はバールではありません。

薄い刃を横方向へ強くこじると曲がることがあります。

切れない鎌を力任せに使う

これは危険です。

切れ味が落ちたら、力で補うのではなく刃を研ぎます。

作物の株元で大きく振る

大切な野菜を一緒に刈ってしまう典型的な失敗です。

株元では鎌を小さく動かしましょう。

反対の手を刃の進行方向へ置く

ノコギリ鎌を手前へ引く先に手や指があると危険です。

常に、

「もし刃が滑ったらどこへ行くか」

を考えながら使います。


疲れにくく使うコツは「鎌に仕事をしてもらう」

長時間草を刈っていると、腕や手首が疲れてきます。

このとき意識したいのは、

力だけで切らないこと

です。

よく切れるノコギリ鎌なら、鋸歯を草へ掛けて引くことで切れます。

肩から大きく力を入れるより、

  • 刃先を草へ入れる
  • 手首を軽く使う
  • 手前へ引く
  • 一度に欲張らない

という動作を繰り返す方が楽です。

草刈り鎌についても、刃全体へ大量の草を当てるより、刃先から少しずつ切っていく方が抵抗を減らせるとされています。

大切なのは、

人間の力で草をちぎるのではなく、切れる刃に仕事をしてもらうこと

だと思います。


切れ味が落ちたらノコギリ鎌を研ぐ

ノコギリ鎌は使えば必ず摩耗します。

特に自然農では、

地下茎

小石

などに刃が触れるため、草だけを刈る場合より刃先が傷みやすくなります。

次のような変化が出てきたら研ぎ時です。

  • 草に刃が入りにくい
  • 引っかかる
  • 一度で切れない
  • 以前より力が必要
  • 鋸歯の先端が丸くなっている

完全に切れなくなるまで使うより、少し切れ味が落ちた段階で軽く整える方が簡単です。

ノコギリ鎌の具体的な研ぎ方はこちらで写真付きで紹介しています。

ノコギリ鎌の研ぎ方・メンテ完全ガイド|ダイヤモンドやすりの選び方と手順


これから買うならノコギリ鎌の選び方も重要

ノコギリ鎌なら何でも同じというわけではありません。

自然農で使っていると、

  • 刃の厚さ
  • 刃のしなり
  • 鋼かステンレスか
  • 鋸歯の形
  • 柄の握りやすさ

などによって使い心地がかなり変わります。

特に土中の根切りまで行うなら、薄すぎる刃はしなったり曲がったりしやすくなります。

逆に柔らかい草だけを刈るのであれば、軽い鎌の方が楽な場合もあります。

詳しい選び方については、こちらの記事にまとめています。

自然農で使うノコギリ鎌の選び方|鋼・ステンレス・刃の厚みを実体験から解説


まとめ|ノコギリ鎌は「草をなくす道具」ではなく「草との関係を整える道具」

ノコギリ鎌の基本的な使い方は、とてもシンプルです。

草へ刃を当て、手前へ引いて切る。

まずはこれを覚えれば十分です。

しかし自然農で使い続けていると、ノコギリ鎌は単なる草刈り道具ではないと感じるようになります。

作物の株元だけ草を刈る。

大きくなりすぎた草だけ高さを抑える。

播種するところだけ草を開ける。

地下茎が邪魔なところだけ根を切る。

そして刈った草をその場へ戻す。

つまり、

草を根絶するための道具ではなく、作物と草との関係を調整するための道具

として使うことができます。

自然農では、畑の状態は毎年、毎月、そして場所によっても違います。

だからこそ、

「何cmで刈れば正解」

「全部刈れば正解」

という一つの答えではなく、

作物と草をよく見て、必要なところだけ鎌を入れる。

私はそこが、ノコギリ鎌を使う一番大切なポイントだと思っています。

自然農における畝と通路の草整理について、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

自然農の畝と通路の草整理|草を敵にせず、草マルチとして活かす基本のやり方

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