ヘーゼルナッツのブランクナッツ(空打ち)対策|まず押さえたい原因と改善の方向性

ヘーゼルナッツのブランクナッツ 栽培方法

はじめに

ヘーゼルナッツを植えて数年、楽しみにしていた収穫が「実がほとんどつかない」「殻だけで中身が空っぽ」という経験はありませんか?

この“ブランクナッツ(空打ち)”は、単なる偶発ではなく 受粉・水分栄養・気象・害虫といった複合要因で起こる現象です。

本記事では、オレゴン州立大学(OSU)や欧州の研究事例+小諸(寒冷乾燥地)での栽培実例をベースに、原因と改善の方向性を整理します。


実がならない・中身が空になる主な原因

① 受粉不良(最重要)

② 夏の乾燥と栄養不足(特にホウ素B・カリK)

③ 冬の寒波による雄花凍害

④ カメムシ類の被害

⑤ ビッグバッドダニ


圃場での診断ポイント

  • 花粉紙テスト:黒紙に振って花粉量を確認。
  • 受粉樹の距離:15m以内に複数品種があるか。
  • 葉分析(8月):B 30ppm以下は不足、200ppm超は過剰。K不足も要注意。
  • 冬芽観察:big bud比率を確認。
  • 軽い殻や早期落果:カメムシの初期被害サイン。

対策の方向性

受粉樹の導入(最優先)

  • 相性の良い3品種(早・中・晩咲)を補植。
  • 全域に分散させ、風上にも配置。
  • 剪定で雄花芽を落としすぎない。

夏の水・栄養管理

気象・害虫対策

  • 冷気溜まりを避けた園づくり。
  • 雄花耐寒性品種を混植。
  • カメムシは6–7月を重点監視。
  • ダニ芽は剪去・焼却。

小諸での実例

小諸の圃場(樹齢5年、樹高3m)では「実は数個のみ、中身空多数」。
主因は:

  1. 受粉樹ゼロ(致命的)
  2. 夏の乾燥+ホウ素不足
  3. カメムシ初期吸汁

まずは 受粉樹導入と夏季の潅水・B管理 が改善の第一歩です。


来季アクションカレンダー(小諸版)

  • 2–3月:雌花・雄花の開花期観察、補植計画。
  • 4月:big bud芽の剪去処分、潅水設備確認。
  • 5月中旬:ホウ素葉面散布。
  • 6–8月:潅水徹底、カメムシ監視。
  • 8月:葉分析(B・K・N)。
  • 収穫期:ブランク率を記録 → 翌年改善に反映。

まとめと次回予告

  • ブランクナッツは受粉不良+夏の水分栄養不足が最大要因。
  • 特に 受粉樹の不足は致命的で、まずは補植計画から着手すべき。
  • 次回は、現在日本でも導入されているトンデ系品種(例:トンデジェントレー)に適合する具体的な受粉樹候補リストを紹介します。

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