野菜の栄養成分(ミネラル)の不足が深刻って本当か調査してみた!

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『最強の食事術』P149 より抜粋

最近、ダイエットブームなどで「〇〇食事術」や「〇〇食事法」というタイトルの本をよく見かけるようになって、食物について気になる方なので何冊か読んでいると近年の野菜の栄養成分(特にミネラル分)が昔よりもどんどんすくなってなっているという記述を見かけました!

現代人は、野菜はとっているのに肝心の栄養は昔ほど足りていないという深刻な事態になっているという内容です。

本当かなあ~と疑り深い性分なので文部科学省が何年かごとに改訂版を出している食品成分表を元に主な野菜の栄養成分・ミネラル分を中心に調べてみました。

野菜の栄養成分が気になる方の参考になれば幸いです。

野菜の栄養成分(ミネラル)が本当に少なくなってきているのか調べてみた!

まず、野菜のミネラルが減ってきているということに興味を持ったきっかけがある本を読んでからです。

それがこちらの本です。

この本の著者の満尾正先生は、現役のお医者さんで満尾クリニックの院長先生です。

本の内容は、最新の研究論文をもとにした現代人が食べるべき食べ物についてわかりやすく紹介してくれています。

きちんとした研究エビデンスをもとにした内容なので説得力がありましたね。

ぜひ手にとって読んでみてほしいおすすめの本です。

この本の中で自然農の農家として気になった部分が本書の4章3項で148ページからの内容でした。

アメリカの研究論文の成果がグラフで表示されていました。

『最強の食事術』P149 より抜粋

この折れ線グラフは、野菜(キャベツ、レタス、トマト、ほうれん草)のミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄)の含有量の年代推移を表したものです。

このグラフを見た時に結構衝撃を受けてしまいました(・_・;)

約100年ぐらいの間に野菜のミネラルが90%以上も減少していることになります。

[balloon_right img=”https://natuvegegarden.primelifenet.com/wp-content/uploads/2021/06/face_20210615_205509.png” caption=”Nori(ノリ)”]思わず、えっマジ!?となりました![/balloon_right]

そこで早速このグラフの参考論文にあたってみることにしました。

参考文献がきちっと掲載されている点も信頼感がありますね。

このグラフの参考文献は、

Nutrients 2018 Sep,10(9):1202

同じようなグラフが掲載されていました。興味ある方は、上のリンクから飛んで見てください。

アメリカと英国での過去の食品成分分析データを収集して得られた結果のようです。

しかも2000年以降は、分析データが更新されていないようです。

現在では、さらにミネラルの含有量が減っている可能性もあると思われます。

この論文の中では、マグネシウムに着目して現代人のマグネシウムの摂取量が全く足りていないと警鐘を鳴らしています。

日本の野菜は大丈夫か!?ミネラルや栄養成分の減少はあるのか?

そこで気になったのが日本の野菜の場合です。

アメリカや英国と同じように現代農業が普及している日本でも同じようなミネラル含有量の減少が野菜に見られるのではないかと思って、日本の野菜のミネラル含有量を調べてみました。

日本では、食品成分表が出版されているのでできるだけ年代をさかのぼって比較してみたいと思います。

主に葉物野菜を中心に食品成分のデータを一覧表にしてみました。

日本で野菜の栄養成分について遡れるのは、1951年までです。

それ以前の分析データの公表がないので不明でした(・_・;)

ほうれん草から見てみましょう!

ほうれん草(生) 単位/年 1951 1961 1982 2000 2015 2020
エネルギー kcal 23 23 25 20 20 18
タンパク質 g 3 3 3.3 2.2 2.2 2.2
ミネラル
カリウム(K) mg 740 690 690 690
カルシウム(Ca)) mg 9 98 55 49 49 49
マグネシウム(Mg) mg 69 69 69
リン(P) mg 69 52 60 47 47 47
鉄(Fe) mg 13 3.3 3.7 2 2 2
亜鉛(Zn) mg 0.7 0.7 0.7
銅(Cu) mg 0.11 0.11 0.11
マンガン(Mn) mg 0.32 0.32 0.32
ビタミン
ビタミンA μg 8000 8000 3100 4200 4200 4200
ビタミンB1 mg 0.12 0.12 0.13 0.11 0.11 0.11
ビタミンB2 mg 0.3 0.3 0.23 0.2 0.2 0.2
ビタミンC mg 150 100 65 35 35 35
出典 日本食品標準成分表 初版 3訂 4訂 5訂 7訂 8訂

※数値は、食品可食部100gあたり含有量、出典から引用している数値

数値を見てみるとカルシウム、リン、鉄の減り方が激しいですね(・_・;)

ビタミンA、Cもほぼ半減かそれ以上少なくなってしまっています。

トマト(生) 単位/年 1951 1961 1982 2000 2015 2020
エネルギー kcal 13 21 16 19 19 20
タンパク質 g 1 1 0.7 0.7 0.7 0.7
ミネラル
カリウム(K) mg 230 210 210 210
カルシウム(Ca)) mg 4 8 9 7 7 7
マグネシウム(Mg) mg 18 9 9 9
リン(P) mg 52 19 18 26 26 26
鉄(Fe) mg 5 0.3 0.3 0.2 0.2 0.2
亜鉛(Zn) mg 0.4 0.1 0.1 0.1
銅(Cu) mg 0.08 0.04 0.04 0.04
マンガン(Mn) mg 0.22 0.08 0.08 0.08
ビタミン
ビタミンA μg 400 400 390 540 540 540
ビタミンB1 mg 0.08 0.08 0.05 0.05 0.05 0.05
ビタミンB2 mg 0.02 0.02 0.03 0.02 0.02 0.02
ビタミンC mg 15 20 20 15 15 15
出典 日本食品標準成分表 初版 3訂 4訂 5訂 7訂 8訂

※数値は、食品可食部100gあたり含有量、出典から引用している数値

トマトは、リン、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガンなど軒並み50%以上すくなくなっています。

[balloon_right img=”https://natuvegegarden.primelifenet.com/wp-content/uploads/2021/06/face_20210615_205509.png” caption=”Nori(ノリ)”]うーん、なかなかの減り具合ですね(・_・;)[/balloon_right]

あと、今回食品成分表をさかのぼってみると日本でも2000年以降データが更新されていないことが判明しました。

欧米とおなじような現象がみられるのは不思議ですが、日本の食品成分表(5訂)以降は栄養成分の数値に変化がありません。

[balloon_right img=”https://natuvegegarden.primelifenet.com/wp-content/uploads/2021/06/face_20210615_205509.png” caption=”Nori(ノリ)”]改訂ごとに分析してないんですね!なんで?[/balloon_right]

しかも野菜に含まれるミネラル成分について詳しく分析され公表されたのは1982年の食品成分表(4訂)からです。

ですので今回の上で紹介している一覧表では、1982年以前のデータは一部歯抜け状態になっています。

それでも、比較できるミネラルはいくつかあるのでまだ救いですが。

結論的には、この一覧から言えることは野菜のミネラルは減少傾向にあると言えそうです。

ただし、もっときちんとしたデータ分析が必要というのはいうまでもありません。

食品成分表のデータは、どこの産地のどういう土壌でどんな農法で栽培された野菜の分析データなのかということがまったく不明です。

自然農の野菜を食べている自身の体験からは、流通している野菜との差が歴然とあることを実感しているので、おなじほうれん草といってもその土地の状況や栽培方法によって含まれているミネラルやビタミンなどの栄養成分がかなり違うのではないかと想像できます。

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野菜のミネラルが少なくなっているのはなぜ?原因はなに?

野菜の栄養成分が少なくなってしまった原因については、いろいろ言われていてまだ確定されたわけではありません。

現在言われている説とすると大きく二つあるようです。

説その1

野菜のミネラル不足は、化学肥料や農薬に頼った栽培方法のために土からミネラル分が流出してしまったから

説その2

野菜のミネラル低下は、堆肥などの有機物肥料の多用で食物に吸収されなくなる微量元素がでてきているから

この二つの説は、真逆の説になるわけですが果たしてどちらが正しいのか、今後の研究が待たれます。

ただ自然農をおこなっている経験から言えることは、どちらも人間が手を入れすぎているということですね。

化学肥料や農薬に頼りすぎるのも、有機物の肥料に頼りすぎるのも畑の土にとっては自然界のバランスが崩れてよろしくないということだと思いますね。

[quads id=2]

おわりに

アメリカや英国の研究データは、結構衝撃的でしたが日本では同じ用に野菜のミネラル成分の含有量は昔に比べて少なくなっているようです。

しかも現代は、野菜を生で食べる機会も減っています。生サラダといっても洗浄されてカットされて販売されているので栄養成分の流出もさらに大きくなっているのではないかと想像できます。

現在公開されている文科省が公表している食品成分表は、単なる目安でしかないということもわかってしまいました。

栄養士さんなどは、食品成分表をもとに大事な食事メニューを提供していると思いますが、かなり危ういデータをもとにしていると思うと結構ショックです。

2000年以降まともに成分分析されていないということですからね。

もう少し科学的に根拠のある食品成分表を次回の改訂版には期待したいところです。

2020年に改訂されたばかりだから次は5年後かなあ。

5年もあればそこそこいいものができそうな期待もしてしまいますが・・・

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