ヘーゼルナッツは寒さに強く育てやすいナッツ類として、国内でも最近注目を集めています。
この記事では、特に寒冷地でのヘーゼルナッツ栽培に向けたおすすめ品種や具体的な育て方、収穫量アップの秘訣まで詳しくご紹介します。
ヘーゼルナッツの耐寒性

ヘーゼルナッツの多くは約-25℃程度まで耐えることができますが、品種によって耐寒性は異なります。
特に、雄花(尾状花序)は-15℃以下の厳しい寒さで傷みやすくなるため注意が必要です。
一方、雌花や枝芽は比較的寒さに強く、中には-40℃にも耐えるほど耐寒性に優れた品種があります。
また、春先の遅霜(-3℃前後)も開花期のヘーゼルナッツにはダメージを与えることがあり、開花時期が遅めの品種を選ぶことで被害を軽減できます。
寒冷地での栽培実績
日本国内では、特に長野県がヘーゼルナッツ栽培の中心地として知られており、国内生産量の約95%を占めています。
長野市などの積雪寒冷地域でも栽培に成功し、全国から多くの注目を浴びています。
北海道の道南地域(胆振・後志地方)でも栽培が始まっており、徐々に栽培実績が増えてきています。
海外では、カナダのオンタリオ州、アメリカ中西部、イタリア北部ピエモンテ州など、寒さの厳しい地域でも栽培されています。
商業栽培向けおすすめ品種
- ジェファーソン(Jefferson)
- 大粒で収穫量が非常に多く、病害虫にも強い。
- 開花が晩生で、春先の遅霜の影響を受けにくい。
- チョコレートや加工食品への利用にも適しています。
- トンダ・ジェンティーレ(Tonda Gentile delle Langhe)
- イタリア原産の高級品種で、風味が非常に良く、特に菓子用として評価が高い。
- 耐寒性は平均的だが、高品質の実が特徴。
- 殻の剥きやすさも魅力です。
- ヤムヒル(Yamhill)
- 樹高が低めでコンパクトなため、密植が可能で管理が容易。
- 病害虫への耐性が高く、安定した収穫が見込める。
- 殻剥き後のナッツが加工に適しています。
家庭栽培に最適な品種
- コスフォード(Cosford)
- 耐寒性が高く、樹高が低いため小さな庭や鉢植えでも育てやすい。
- 約-25℃までの寒さに耐え、比較的容易に栽培できる。
- 実の味も良く、家庭で楽しむのに最適です。
- アメリカハシバミ系交雑種(Northern Blaisなど)
- 極めて高い耐寒性を持ち、寒さが特に厳しい地域にも向いている。
- 病害虫への耐性が非常に高く、初心者でも簡単に管理可能。
- 実は小ぶりだが、風味豊かで家庭栽培に適しています。
受粉を成功させるコツ

ヘーゼルナッツは基本的に他家受粉が必要な植物です。
同じ品種だけを植えても結実が難しいため、異なる品種を組み合わせることが大切です。
理想的には、受粉樹を全体の20~30%ほど植え、開花時期が似通った品種同士を選ぶことで受粉効率が高まります。
さらに、風が通りやすい位置や園地の中心付近に受粉樹を配置すると、さらに効果的です。
病害虫対策について
日本国内でのヘーゼルナッツ栽培では病害虫の深刻な被害は少ないですが、海外では菌核病(Eastern Filbert Blight)、芽枯れダニ、細菌性枝枯れ病などが問題になっています。
これらの病害虫への耐性を持つジェファーソンやヤムヒルといった新しい品種を選ぶことで、病害虫によるリスクを軽減できます。また、定期的な剪定や適切な管理を行い、風通しの良い環境を保つことも病害虫防除に効果的です。
寒冷地でのヘーゼルナッツ栽培は、耐寒性や晩生の開花時期、病害虫耐性などを意識して品種選びをすることが成功の鍵となります。
ぜひこの情報を活かして、美味しいヘーゼルナッツの栽培にチャレンジしてみてください!
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