日本には古くから、自然や道具にも魂が宿るという考え方があります。その美しい例が、日本の伝統的な斧「和斧(わふ)」の側面に刻まれた線刻です。
和斧の線刻とは?
和斧を手に取ると、まずはその鋭い刃が目に入ります。しかし、よく見てみると、側面には三本と四本の線が刻まれています。この線は単なる装飾ではなく、昔から日本人が大切にしてきた祈りや願いが込められた特別なものです。道具、人間、そして自然が調和して暮らせるよう願いが込められています。
三本の線―神様への感謝の心

三本の線は「御神酒(おみき)」を意味します。御神酒とは神様に捧げるお酒のことで、日本では昔から自然や山の神々に感謝を伝えるため、神事や祭りで供えられてきました。和斧の三本の線は、使う人が自然への感謝を忘れず、謙虚な心で木と向き合うように教えてくれています。
四本の線―自然への敬意と感謝

反対側の四本の線は「四気(しき)」、または「四大(しだい)」と呼ばれる自然界の基本要素を表しています。それは「太陽・土・水・空気」のことです。これらは生命に欠かせないものであり、木が育つためにも必要不可欠なものです。「ヨキ」という斧の名前は、この「四気」から来ているとも言われています。和斧に刻まれた四本の線を通じて、自然の恵みに感謝する心を私たちに伝えているのです。
「七つ目」の意味―安全を祈る願い
三本と四本を合わせて七本になることから、「七つ目」とも呼ばれるこの線刻には、災難を避けるおまじないの意味もあります。日本では古来、「七」という数字は邪気を払い、幸運を招く力を持つと信じられていました。また、「三(身)を四(よ)ける」という語呂合わせにより、斧を使った作業中の事故や災難から職人を守る願いも込められています。
和斧に込められた日本人の心
このように和斧の線刻には、自然を敬い、大切に共存しようとする日本人の考え方が深く刻まれています。私たちが道具を使う際には、ただ便利さだけでなく、その道具に込められた先人たちの想いや感謝の気持ちを感じ取ることが大切ですね。
和斧が教えてくれる日々の暮らし方
木を切ったり薪を割ったりする日常的な作業にも、日本人が持つ美しい精神性や哲学が詰まっています。昔の人々の願いや祈りを感じながら、丁寧に暮らしていくことで、毎日の生活はもっと豊かで味わい深くなります。
忙しい日々の中で和斧という道具を手に取ることで、自然や生命とのつながりを思い出す時間を持ってみませんか。和斧の線刻を通じて、自然と共に生きる喜びや感謝の心を改めて感じてみてください。
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